Part 7が終わらないとき、問題演習を増やすだけでは速くなりにくいです。問題演習は「今の読む力を時間内に発揮する」練習であり、読む力そのものを上げる練習は別に必要だからです。 語彙、文法処理、まとまりで読む力、理解、時間戦略のどこが遅いのかを分けて、精読、反復読み、時間つき読解、問題演習の順で練習を組むと、伸びが見えやすくなります。
時間を確認しておきます。リーディングは75分で100問、そのうちPart 7は1つの文書29問と複数の文書25問の計54問です。仮にPart 5(30問)とPart 6(16問)を合わせて20分で終えられれば、Part 7に残るのは55分、計算上は1問1分強です。ここには本文を読む時間も含まれます。
なぜ演習量が速さに変わりにくいのか
演習では、読み終わらなかった問題の解説を見て「読めば分かった」で終わりがちです。ところが、時間内に読めなかった原因は、解説を読んでも解消しません。
Part 7の遅さには、次のように別々の層があります。
| 層 | 遅れの症状 | 効く練習 |
|---|---|---|
| 語彙 | 知らない語で止まる、言い換えに気づかない | ビジネス語彙、本文と選択肢の言い換えの確認 |
| 文法処理 | 長い文で主語や修飾を取り直す | 精読、文構造の確認 |
| まとまりで読む力 | 文末まで読んでから文頭に戻る | スラッシュ読み、音声付きの反復 |
| 理解(文章の統合) | 読んだのに設問に戻ると思い出せない | 要約、指示語や文書間の対応を追う |
| 時間戦略 | Part 5で使いすぎる、1問にこだわる | 時間配分、捨て問の判断 |
時間戦略だけを磨いても、上の4つが遅ければ、配分を変えた分だけ別の場所で時間が足りなくなります。逆に読む力はあるのに配分で失点している人もいます。自分がどちらかを最初に分けることが、遠回りを防ぎます。
自分の遅れを特定する
公式問題集などのPart 7の1セットで、次の2回を比べてください。
1回目(本番時間):時間を計って解き、どこまで進めたかと正答数を記録します。
2回目(時間無制限):未解答の問題も含め、辞書なしで解き直し、かかった時間を計ります。
| 結果 | 読み取れること | 主な対策 |
|---|---|---|
| 時間をかければほぼ正解 | 知識はあり、処理が遅い | 反復読み、時間つき読解 |
| 時間をかけても間違いが多い | 語彙、構造、理解に穴がある | 精読、語彙 |
| 時間内なら解けるが、Part 5・6で時間を使っている | 配分の問題 | Part 5・6の時間管理 |
| 文書1枚はよいが複数文書で崩れる | 情報の照合が弱い | 文書間の対応を追う練習 |
原因の切り分けをもっと丁寧にしたい場合は、次の記事の診断が使えます。
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読む力を鍛える4段階
同じ1セットの文書を、4段階で使います。問題集を次々に解くよりも、1つの文書から多くを取り出すやり方です。
段階1:時間無制限の精読
文書1本を、知らない語、文構造、指示語、前後のつながりまで確認します。メール、広告、記事、チャットなど、文書の種類によって読むべき情報が変わるので、「誰が誰に、何のために書いたか」も押さえます。
解説の和訳と自分の理解を照らし合わせ、ずれた文には印をつけてください。ここが飛ぶと、次の反復は「分からないまま速くなる」練習になります。
段階2:反復読み
精読した文書を、意味の区切りで前から読み、3回ほど繰り返します。公式問題集などリーディングの読み上げ音声がある教材なら、音声に合わせて読むと、区切りと速度の感覚を外から与えられます。
日本の大学生を対象にしたTaguchiら(2004)では、音声つきの反復読みが黙読速度の向上において多読と同程度に有効でした。第二言語での反復読みの研究はまだ多くないため、これだけに頼らず、次の新しい文章で速さを確かめる必要があります。
段階3:新しい文書で時間つき読解
設問を見ずに、初見の文書を時間を計って読み、本文を隠して要点を3つ書きます。時間は自分の直近の記録をもとに、少し短く設定してください。平均的な目標値より、自分の記録を更新するほうが負荷の調整ができます。
要点が言えないのに速くなっていたら、読み飛ばしが増えているだけです。そのときは時間を戻します。
段階4:問題演習
ここで初めて、問題を解きます。段階1〜3で読む力を鍛え、段階4でそれを時間内に出す練習をするという役割分担です。演習後は、間違えた問題と、時間がかかりすぎた問題の両方を見直します。
拾い読みはどこまで使えるか
全文を読むべきか、拾い読みでよいかは、意見が分かれやすい点です。EigoHeroの判断はこうです。
- 文書の種類を見て、設問の問いを確認してから読むことは、有効な手順です。 探す情報が決まると、読みに目的が生まれます。
- 読む力を鍛える時期は、全文を読みます。 拾い読みに頼ると、段階1〜3で育てたい力が使われません。
- 本文を見ないで選択肢の語を探す読み方はしません。 選択肢は本文を言い換えていることが多く、同じ語を探すだけでは根拠を取れません。文書を照合する問題でも、1か所だけ見て答えると、別の文書の条件を見落とします。
例外もあります。試験まで2週間もない場合は、読む力を大きく変える時間が足りません。配分の見直し、解けない問題の見切り(迷ったら印をつけて進む)、塗り残しをなくすことに絞るのが現実的です。
1週間の組み方
例(平日30分、休日60分を確保できる人の場合)
| 曜日 | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 月・火 | 文書1本の精読 | 30分 |
| 水・木 | 同じ文書の反復読み、語彙の確認 | 30分 |
| 金 | 新しい文書で時間つき読解と要約 | 30分 |
| 土 | Part 7の問題演習と見直し | 60分 |
| 日 | Part 5・6の時間を計る練習と週の記録 | 30分 |
短い文書を1本ずつこなすと、1週間で扱う英文は多くありません。それでよいです。解く量が減る不安があるかもしれませんが、量を増やすのは、1本の文書をきちんと読めるようになってからのほうが効率的です。
伸びを見る指標
スコアは回ごとの揺れがあるので、次の4つを記録します。
- Part 7で未解答になった問題数
- 1セットにかかった時間
- 1問で止まった時間が長かった問題の数と、その原因(語彙、構文、照合、迷い)
- 新しい文書の要約の正確さ
一度解いた問題は、内容を覚えているので速くなります。速さの測定や本番の予想には、未使用のセットを使ってください。模試の受け方と、結果の読み方は別の記事で整理しています。
なお、IIBCの2025年度データでは、公開テストの社会人平均はリスニング353点、リーディング296点で、多くの人にとってリーディングに伸びしろが残っています。目標点を決めるときは転職で求められるスコアの目安も参考になります。
次にやること
次の問題集に進む前に、手元の1セットで「本番時間」と「時間無制限」の2回を試し、結果の表で自分の型を確認してください。読む力の問題なら、そのセットの文書1本で段階1から始めます。セットが残っていない人は、次の記事で新しい版が必要かを判断できます。
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