誰にとっても一番強い「英語×○○」はありません。強いのは、すでに経験がある領域で、英語がなければ成果が出ない仕事に掛け合わせた形です。 目安を挙げると、求人の広さならIT、英語がそのまま成果になるのは海外営業と調達、未経験からの入りやすさなら営業、経験が積み上がるほど希少になるのは経理とプロジェクトマネジメントです。
迷ったら、新しい分野に飛び込むより「今の職種×英語」から考えるのが現実的です。英語だけで勝負するより、英語×専門性のほうが選べる仕事も説明できる価値も増えます。
英語は「届く範囲」、専門性は「届ける中身」
英語は、相手の範囲を海外顧客、海外本社、多国籍チームへ広げる力です。専門性は、その相手に何を提供できるかを決めます。片方だけでは価値が出にくいのはこのためで、掛け算と言われる理由でもあります。給与と英語の関係については英語ができるのに年収が上がらない人の共通点で整理しました。
必要な英語の水準も職種で変わります。IIBCの2022年調査では、TOEICを活用する上場企業が社員に期待するTOEIC L&Rの平均スコアは、技術部門560点、営業部門580点に対し、海外部門は705点でした。TOEICを活用している企業の回答なので市場全体の基準ではありませんが、「どの部署で英語を使うか」で要求が変わることは分かります。
7つの組み合わせの比較
次の表は統計ではなく、職種の性質をもとにしたEigoHeroの判断です。「高・中・低」は相対的な目安で、業界や会社によって変わります。年収の順位付けはしていません。
| 英語× | 需要の広さ | 持ち運びやすさ | 海外との接点 | 専門の習得難度 | 英語の成果直結度 | キャリアの天井 | 転職のしやすさ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| IT・エンジニア | 高 | 高 | 高 | 高 | 中 | 高 | 高(経験者) |
| 営業 | 高 | 中 | 中〜高 | 低〜中 | 高(海外顧客) | 中〜高 | 中〜高 |
| 経理・財務 | 中 | 高 | 中 | 中〜高 | 中 | 中〜高 | 中 |
| マーケティング | 中 | 中 | 中 | 中 | 中 | 中〜高 | 中 |
| 採用・人事 | 中 | 中 | 中 | 低〜中 | 中 | 中 | 中 |
| プロジェクトマネジメント | 中〜高 | 高 | 高 | 高 | 高 | 高 | 中(実績者) |
| 調達・サプライチェーン | 中 | 中 | 高 | 中 | 高 | 中〜高 | 中 |
「持ち運びやすさ」は、他の会社や業界でも通用するかどうかを指します。「英語の成果直結度」は、英語の出来が業務の結果を左右する度合いです。
それぞれの掛け算で英語が効く場面
IT・エンジニア。 公式ドキュメントや海外の技術情報を読む機会が多く、海外チームとの開発では会議や設計レビューも英語になります。需要面では、IPAの調査でDXを推進する人材の「量」が不足していると答えた国内企業は85.5%でした(2025年度調査、2026年7月公表)。ただし、これはDX人材全般の数字で、英語人材の不足を示すものではありません。読むだけなら差がつきにくく、話して設計を詰められると一段強くなります。
営業。 英語の出来が売上に直結しやすい組み合わせです。海外営業のほか、外資系製品を日本で売る営業、国と企業の間で売買を仲介する商社営業などがあります。業界知識が価値の大半を占めるため、別の業界へ移ると持ち運べる範囲は狭まります。
経理・財務。 経理の基本は会社のお金の動きを記録・管理して報告することで、ここに英語が掛かると、海外子会社の連結決算、英文の財務資料、外部監査対応へと広がります。日本でもIFRSを任意適用する上場企業があり、会計基準の知識と英語の両方を求める求人が生まれます。日常の仕訳だけなら英語の出番はほぼありません。
マーケティング。 海外市場の調査や海外本社への報告では英語が要りますが、国内向けの担当なら必須ではありません。職種の定義が会社ごとに違うので、肩書きより何の数字に責任を持ったかが問われます。
採用・人事。 外資系や多国籍組織の人事、外国籍社員の採用、グローバル人事制度の運用で英語が効きます。労働法など国内の制度知識が土台になるため、英語だけでは担当できません。
プロジェクトマネジメント。 複数の国の関係者の認識をそろえ、遅れやリスクを英語で交渉する仕事で、英語の負荷が最も高い部類です。その代わり、実績があれば業界をまたいで評価されやすくなります。
調達・サプライチェーン。 海外の仕入先との価格交渉、契約、品質・納期の調整があり、英語の出来がコストと納期に直接影響します。入口としては、輸出入の契約書類や貨物輸送の手配を担う貿易事務から実務を覚える道もあります。
自分に合う組み合わせはどこか
未経験から始めやすいのは、営業、採用(人材業界の営業を含む)、貿易事務を入口にした調達・物流です。専門の習得に時間がかかりにくく、未経験でも応募の余地がある職種です。英語は入社後に実務で伸ばせます。
すでに経験が必要なのは、プロジェクトマネジメント、連結決算レベルの経理、エンジニアの上流工程です。英語だけ先に伸ばしても応募条件に届きにくいため、専門の実績を積むのが先です。
英語力が高いほど見返りが大きいのは、海外営業、調達の交渉、多国籍プロジェクトのマネジメントです。リアルタイムの会議や交渉が仕事の中心だからです。この3つは「読める」段階で止めず、話す練習に時間を使う価値があります。
過大評価されやすいのは次の形です。
- 短期間のスクールだけで「英語×エンジニア」を名乗ること。評価されるのは作ったものと実務経験です
- 実務経験なしの「英語×会計資格」。資格は入口を広げますが、経験の代わりにはなりません
- 「英語×マーケティング」の肩書きだけで、数字の責任がない状態
- 平均年収の高い職種を見て、自分の経験と無関係に目指すこと。実績を一から積み直す期間が必要です
どれを選ぶかの判断基準
次の順に答えると、候補が絞れます。
- 今の職種に英語を足せるか。 足せるなら、それが最短です。海外案件のある部署への異動や、同職種で海外と接点のある会社を探します
- 英語を使う頻度はどのくらいがよいか。 毎日会議で話したいのか、読み書き中心でよいのか。向き不向きがはっきり分かれます
- 専門を一から積み直す時間があるか。 新しい分野に移るなら、数年は専門の習得が優先になります
- 求人で裏づけが取れるか。 希望の組み合わせで10件ほど求人を読み、英語の使用場面と必須経験を書き出します
| 今の立場 | 検討しやすい方向 |
|---|---|
| 営業の経験あり | 海外営業、外資系の営業、商社 |
| 経理の経験あり | 海外子会社の管理、外資系の経理、連結決算 |
| エンジニアの経験あり | 海外チームとの開発、外資系、海外製品の導入 |
| 事務・アシスタント | 貿易事務、調達のアシスタントから専門を作る |
| 英語は得意だが職歴が浅い | 営業か採用で実績を作り、英語と掛ける |
例:国内向けの法人営業を5年続けた人(架空の例)なら、未経験のエンジニアを目指すより、同じ業界で海外顧客を持つ会社や外資系の営業に絞るほうが、経験を捨てずに済みます。
次にやること
まず、上の表から自分の経験に近い行を一つ選び、英語を使う場面を3つ書き出してください。次に求人を読み、足りない経験と英語の場面を分けて整理します。職種ごとの年収の目安は英語を活かせる高収入の仕事で、外資系を目指す場合に必要な英語は外資系転職に必要な英語力で確認できます。
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組み合わせが決まったら、足りない英語だけをビジネス英語の実践まとめで補い、市場の反応は外資・ハイクラス転職サービスの比較を使って確かめるのが順番です。
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